【ハイブリッド】
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シューベルトはベートーヴェンと同時代に生き、もうひとつの音楽宇宙を築いた作曲家です。31年という短い生涯に1000曲もの作品を残し、分野は歌曲、オペラ、教会音楽、室内楽、交響曲、ピアノ曲にわたります。
これらシューベルトの作品は「芸術歌曲(リート)」の系譜の源流となりました。シューマン、ブラームス、ヴォルフ、マーラー、R.シュトラウスへと連なる、クラシック音楽史において重要な系譜、ドイツ・ロマン主義をなす流れです。
そしてこれがベートーヴェン《第九》を頂点とする交響曲の流れと合流し、声楽付き交響曲の起点となり、マーラーの声楽付き交響曲へと向かい、ドイツ・ロマン主義は頂点を築くことになります。
2028年の没後200年に向け、今まさに再評価が進むシューベルト。“歌曲王”の枠を超え、ロマン主義の原点として、皆さんとじっくり深耕したいと思います。
音楽を聴きながら作品や作曲家をご紹介・解説していきます。どんな曲なのか、どんな特徴があるのか、ご自身で感じて味わい、さらに新たな聞き方や気づき方をもって、楽しみ方を広げましょう。
よくわからない、もっと知りたい、こう感じた、皆さんの素直な感情の動きこそが豊かな鑑賞の一歩です。皆さんの感想や疑問を大切に、対話しながら進めます。
1949年横浜生まれ。武蔵野音楽大学大学院音楽学専攻修了。研究領域は西洋音楽史と音楽美学。古典派とロマン派音楽の様式研究を中心とし、特にベートーヴェン研究をライフワークとしている。尚美学園短大助教授、沖縄県立藝術大学教授、静岡文化芸術大学教授、慶應義塾大学教授を歴任、東京藝術大学、国立音楽大学、東京音楽大学等非常勤講師も勤める。
音楽評論活動では、毎日新聞、「音楽の友」「レコード芸術」レギュラー執筆。NHKのTVやFMクラシック番組等での解説者としても活躍。日本音楽学会・国際音楽学会・18世紀学会・三田芸術学会・三田哲学会各会員。日本ベートーヴェンクライス代表。
5月13日(土)9:30-12:30
モーツァルト、ベートーヴェンにもリート(ドイツ語歌曲)の傑作はありましたが、シューベルトは先人巨匠たちとは本質的に異なる表現で新しい芸術表現分野を生みだしました。その系譜はシューマン、ブラームス、マーラーへと連なります。歌曲王シューベルトの原点、歌曲(リートとバラード)の魅力を再確認・再発見しましょう。
5月27日(土)9:30-12:30
当時ドイツの詩は声を出して朗読する芸術として創られ、親しまれていました。“不朽の名作”と評される《美しき水車屋の娘》《冬の旅》もその代表作で、ともに詩人ヴィルヘルム・ミュラー『旅するホルン吹きの遺稿集』に収められた連続詩集でした。民衆的な音楽劇リーダー・シュピールとしての特質と楽しさを味わいましょう。
6月10日(土)9:30-12:30
シューベルトには15曲の弦楽四重奏曲はじめ、たくさんの室内楽作品の傑作があり親しまれています。その人気作の多くには、自作の歌曲や劇音楽の主題を用いた変奏曲楽章が含まれている、というおもしろい特徴があります。ピアノ五重奏曲《鱒》、弦楽四重奏曲《ロザムンデ》と《死と乙女》など代表作からその魅力を探りましょう。
6月24日(土)9:30-12:30
ベートーヴェンと同時代のウィーンで、シューベルトによって生まれたピアノ音楽は奇跡といえましょう。《4つの即興曲》《3つの小品》《楽興の時》はロマン派ピアノ性格小品の完成度の高い先駆作品ですし、最後の3曲のピアノ・ソナタはベートーヴェンとは全く別世界の宇宙を切り開いています。シューベルトを通じてロマン派のピアノ音楽にせまりましょう。
7月15日(土)9:30-12:30
1824年に完成・初演されたベートーヴェンの《第九》と同じころ、シューベルトは別の交響曲世界を探求していました。ベートーヴェン以後、交響曲の系譜はすべてベートーヴェンと関連付けられて論じられますが、《未完成交響曲》と《ザ・グレート》、シューベルトの2曲の交響曲は後世への影響以前にロマン主義様式の本質を先取りしていると言えます。初期作品含め、交 響曲の系譜をじっくり読み解きましょう。
7月29日(土)9:30-12:30
シューベルトは敬虔な宗教音楽においても優れた才能を見せました。最初の音楽の師は生地の教区教会(現在シューベルト協会の愛称で知られるリヒテンタール教会)オルガニスト楽長のミヒャエル・ホルツァー。原点、生涯、そしてミサ曲、《サルヴェ・レジナ(めでたし元后)》《スタバト・マーテル(悲しみの聖母は佇む)》など代表的作品から、知られざるシューベルトに出会いましょう。