募集を終了いたしました。
【ハイブリッド】
丸の内キャンパス、オンライン(Zoom)いずれでも参加可能です。ただし今後の状況により【オンラインのみ】の開催となる場合があります。
山本七平の代表作『「空気」の研究』は、日本社会・日本人の行動様式を「空気」という概念を用いて分析した日本論の名著として知られています。山本の空気論は、かつての日本は黒い空気に支配され、空気が最終決定者となって勝てない戦争に向かい、無意味な作戦が実行された、という解釈といえます。
しかしながら、空気が最終決定者ならば責任は問えません。空気論は安易な無責任論へと結びつき、「しかたがなかった」という言葉で済まされてしまうことになります。「黒い空気」が生じたのは事実だとしても、はじめから空気があり、空気が決定したわけではありません。むしろ、人間が空気を生み出し、それに従っていたのではないでしょうか。
本講座では、山本の「黒い空気」論を題材とし、その発生メカニズムを解き明かし、解決策を提示することを目的とします。さらには、現代社会・企業でも起きている「黒い空気」の問題について論考を深め、私達はどうすればよいのかを考えたいと思います。
講師による講義と、事前課題の共有・ディスカッションを中心に進めます。事前課題は各回の設問に従ってできるところまでで結構ですのでご自分なりに考えをまとめてみてください。講師からのフィードバックやクラスディスカッションでより考えを深めます。
agoraメンバーシップは講座参加費の割引と講演会の受講券がセットになったお得な制度です。詳しい内容はこちらをご覧ください。
4月23日(土)14:00-17:00
『「空気」の研究』について、巷間に伝わる意見の多くは表面的な解釈にとどまってはいないでしょうか。山本の論理展開は日本社会の宗教的特徴に立脚しており難解な部分も多い。そこで1回目では当該書をじっくりと読み解き、山本の宗教的空気論について解釈を試みます。
5月7日(土)14:00-17:00
「黒い空気」の事例として太平洋戦争開戦、義烈空挺隊特攻、戦艦大和特攻といった日本軍の事例を取り上げます。誰もが「やりたくいない」「行きたくない」と感じながらも、陥らざるを得なかった失敗を分析し、山本七平の空気論では説明できないことを明らかにします。
5月21日(土)14:00-17:00
「黒い空気」はなぜ発生するのでしょうか。そのメカニズムを「取引コスト理論」を用いて説明します。日本軍の3つの失敗事例を理論的に説明するとともに、現代社会・企業で今も起きている「黒い空気」の事例についても言及します。
6月4日(土)14:00-17:00
「黒い空気」の支配をいかにして回避すればよいのでしょうか。その理論的な解決の方法として、「取引コスト理論」に基づいた変革コスト低減アプローチと「ダイナミック・ケイパビリティ論」を用いた変革による価値創出アプローチの二つの解決方法を提言します。
6月18日(土)14:00-17:00
「黒い空気」の支配から抜け出るには理論的アプローチだけでは限界があり、経済合理性を超えた価値判断が必要になります。そのための哲学的な解決方法として「カント哲学」的な解決について説明し、いくつかの事例を紹介します。
7月2日(土)14:00-17:00
東京五輪開催に際しての意思決定やコロナ禍で起きた社会問題等を見ると「黒い空気」は、現代社会・企業においても数多く発生していることがわかります。最終回では、各自の体験事例を題材として解決策をみなさんと議論します。
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