飯田泰之さんと深める【マネーの歴史と未来】
歴史を読み解き、これからの貨幣と経済に思いをはせよう
貨幣(マネー)抜きで現代の経済活動は存在し得ない。経済における貨幣の普遍性は、ともすると、私たちの貨幣理解の大きな障害となる。当たり前の存在であるが故に、貨幣とは何なのかという思考が困難になってしまうのだ。今日の各国金融政策の変容、キャッシュレス社会の進展、さらには仮想通貨の登場は、「新たな貨幣」の到来を予想させる。
本講座では日本の歴史を通して貨幣が無い社会、また、ある貨幣が貨幣でなくなる状況を確認することで、逆説的にこれからの貨幣のあり方を考えていきたい。
貨幣成立の通説を疑う
貨幣はどのようにして貨幣となったのだろうか。物々交換が発展し、持ち運びや交換に便利な貨幣となった説や金本位制によって成立したと聞いたことがある人は多いだろう。だが、それは果たして正しいのだろうか。歴史を貨幣という観点から読み解くことで、今までの常識を疑い、貨幣と経済の未来について考えを深めるきっかけとしよう。
おすすめする方
- 貨幣の成り立ちや変遷、今後どのように変化していくかに興味のある方
- 日本の歴史を貨幣という観点で読み解きたい方
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講座内容
10月4日(金)18:30-21:30
第1回貨幣はなぜ貨幣なのか
貨幣とは何か――経済活動の根幹に関わる問題について整理を行う。古典的な商品説と法制説の比較、構造主義的な理解から現代金融理論(MMT)の貨幣観を概観すると、歴史上存在した貨幣の価値を支えたものが見えてくる。これから生まれる「新たな貨幣」が依拠しうる論理はどこにあるのだろう。本講座に通底する貨幣理解への出発点を提供したい。
10月18日(金)18:30-21:30
第2回古代の商品経済と貨幣経済
日本における広義の貨幣は7世紀の無文銀銭にはじまる。一定重量に整えられた銀である無文銀銭はいかにして和同開珎、皇朝十二銭に置き換えられていったのだろう。さらに、稲や布などの商品貨幣は物々交換の発展系といってよいのだろうか。国家権力と貨幣の関係に注目することで、貨幣が貨幣となるために上る梯子について考えていこう。
11月1日(金)18:30-21:30
第3回非貨幣経済の可能性
中世の取引にはいくつか特徴がある。ひとつは複雑な贈与・返礼関係が商品・サービスの交換機能を果たしたこと、また金属としての価値も政府による保証もない銭が貨幣として流通したこと、そして信用経済の萌芽が見られたことなどが上げられる。これらの取引慣習から出発して、法律上の通貨以外を用いた取引、評価経済の可能性について議論していくこととしたい。
11月15日(金)18:30-21:30
第4回江戸の貨幣政策と日本人の貨幣観
江戸期の貨幣改鋳政策は金融政策であり財政政策であった。その歴史を概観するとともに、新井白石と荻生徂徠の経済論に注目する。元禄改鋳への痛烈な批判を行った白石の経済観、元文改鋳の理論的支柱となった荻生徂徠の経済論には現代の日本人にも受け継がれる経済観が見て取れる。日本人にとって経済活動とは何なのだろうか。ともに考えを巡らそう。
11月29日(金)18:30-21:30
第5回世界経済の中の日本
明治維新を経て、近代国家の建設を急いだ日本にとって、国際的な通貨秩序への参加は焦眉の問題であった。しかし、その基本システムである金本位制は、経済にとって大きな足かせにもなり得る。この両側面がぶつかった昭和恐慌期の経済論戦を通じて、現代にまで続く日本人にとっての「正しい経済」に思いをはせ、その「正しい経済」がもたらす経済政策の貧困について論じたい。
12月13日(金)18:30-21:30
第6回未来の貨幣を考える
商品価値、国家(税制)による保証、信用の連鎖――歴史上の貨幣は様々な要素をその根拠として成り立ってきた。これから登場する新たな貨幣はいずれに根拠をもって貨幣への梯子を登っていくのだろうか。もしくは、これまでに経験されたことのない論理にしたがって未来の貨幣が生まれる可能性はないのだろうか。貨幣と経済の未来に思いをはせていきたい。
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